HTML5仕様は、あらゆるウェブ・テクノロジーを包含しているため、すべてを1冊では紹介しきれないほど膨大な分量になります。そこで本書では、HTML5の入り口として、まず、マークアップに関するテーマに絞って解説していきます。
HTML5では、数多くの要素や属性が追加されました。また、既存の要素の中には、その用途が変更されたものもあります。そして、用途は変更されていないながらも、その使い方について詳細に規定された要素が数多くあります。
例えば、HTML5ではアクセシビリティの考慮が数多く盛り込まれています。すでに使われてきた要素についても、アクセシビリティを考慮したマークアップが求められています。
ですから、本書では、HTML5で新たに導入された要素だけではなく、HTML5で規定されているすべての要素を細かく解説します。すでに知っている要素だとしても、新たな発見があるでしょう。
なお、HTML5は、まだW3Cでは勧告になっていません。勧告に至っていない仕様に基づいて、それを使うことにためらいを感じる方も多いでしょう。
そういった方は、CSS2.1のことを思いだしてください。ウェブ制作に関わっている方であれば、CSS2.1についてはよくご存じのことでしょう。すでにCSS2.1はウェブ制作の現場ではよく使われています。しかし、2009年12月現在で、CSS2.1は勧告候補になっているものの、まだ勧告に至っていません。つまり、勧告に至っていない仕様に基づいて、すでに何年も前から多くの人が使っているのです。
筆者は、HTML5も同じと考えています。恐らくHTML5が勧告に至るのは、まだ何年も先の話でしょう。しかし、ブラウザーの実装が進めば、使える機能からだけでもウェブ・サイトに導入しても良いと考えています。
ただし筆者は現時点で、すべてのサイトに対してHTML5のマークアップを推奨するつもりはありません。CSS2.1は勧告には至っていないものの、勧告候補です。恐らくCSS2.1は、今後も仕様に変更はほとんど生じないと言っても良いでしょう。しかし、HTML5は、2009年12月現在で、草案の状態です。恐らく2010年はじめにはW3Cで最終草案に至ると思いますが、まだまだ仕様が変更される可能性は否めません。HTML5は、安定性という観点から見れば、CSS2.1には及びません。
したがって、もし、あなたがウェブ制作を本業にしており、あなたのクライアントがHTMLにさほど詳しくないとしたら、そのクライアントに対してHTML5でマークアップしたサイトを納品するのは時期早尚と言えます。仕様が変更されることを承知の上で、クライアントがHTML5のマークアップを要望したのなら問題ありませんが、そのような状況は稀でしょう。
しかし、もし、あなたがサイトを自ら運営しており、自由にHTMLを編集できる立場にあるのであれば、HTML5のマークアップにチャレンジするのも良いでしょう。特に、WordPressといったCSMを使ってサイトを構築している場合は、テンプレート方式となっているため、全ページのマークアップを変更するのも容易です。このような状況であれば、仮にHTML5仕様に変更が生じたとしても、それに対応することができます。
いずれにせよ、HTML5が次世代のHTML標準になるのは間違いありません。早かれ遅かれ、いずれはHTML5でのマークアップが主流となるときが来るでしょう。今すぐに実際に使うかどうかはともかく、今のうちからHTML5でマークアップがどうなるのかを理解しておくことは重要です。本書がHTML5でマークアップの理解の助けになれば幸甚です。